
一時期程のブームは過ぎたものの、純血の洋犬で最も多く診るのがミニチュア・ダックスです。ここまで多く飼われているのは日本くらいだそうですが、当然ミニチュア・ダックス特有の遺伝病も多く見かけます。
ミニチュア・ダックスの眼を診た時、たまに瞳孔が開いて緑やオレンジの瞳の色が眼のほとんどを占め、まるでビー玉の様にキラキラとさせたのがいます。ライトを当てても瞳孔がほとんど閉じません。白黒写真で申し訳ないですが、上の様な目をしたミニチュア・ダックスを見たことはありませんか?ミニチュア・ダックス特有の遺伝病
「進行性網膜萎縮」です。症状をまとめると・・・
・瞳孔反射の低下または喪失
・網膜血管の萎縮、狭小化
・視神経乳頭の白色化
・タペタム領域の拡大 などです。
少し難しく描きましたが要するに
眼の一番奥の網膜の神経がどんどん萎縮して行き、視覚がなくなっていく病気です。もっとも瞳孔反射が低下して、瞳孔が開ききっている場合症状は相当進行して行っていると考えていい訳で、目はあまり見えていないと考えられるのですが・・・
ここで
「このこは目が見えていますか?」と聞いても飼い主さんに不審がられるだけです。実際犬は視覚が相当低下していても生活にあまり支障が出ません。目にあまり頼らなくても生活する事が出来ます。逆に飼い主さんでも気付くレベルだと視覚はほぼ0だと言う事です。
ここはこの様に質問します・・・
・夜散歩していてつまずいたりしませんか?
・溝にはまったりしませんか?
・散歩中の足どりはどうですか?ゆっくりですか? などと聞きます。
犬は夜でもよく見ることが出来、視覚が弱くなって来るとまず夜見えにくくなります。こうして
「進行性網膜萎縮」と診断していきます。
さてこの病気根本的に治す事は出来ません。少しでも進行を遅らせる事が重要になって来ます。極論を言えばペットにとって目が見えなくてもあまり生活に支障は出ません。
ただこの
「進行性網膜萎縮」はほぼ100%の確立で白内障に移行し、最終的に緑内障に移行します。もし緑内障に移行すれば最悪眼球摘出しなければならなくなるかも知れません。それだけは避けなければなりません。
それには
ビタミンEを1日50mg採れば良いと言われています。下の写真の
「メニわんEYE」を1日6錠投与すれば少しは進行を遅らす事が出来るかな?と言われています。ただし私もこれを処方し始めたのはつい最近の事なので、効果の程は実感できていませんが・・・

因みにこの病気は遺伝性なので、家族にこの病気を持つダックスの場合、特に症状が出ていなくても4~6錠投与する事で予防、または発症を遅らす効果を期待する事が出来ます。
気になる飼い主さんは一度行きつけの動物病院に相談して見て下さい。