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犬の腸閉塞

 動物にも様々な原因で腸閉塞が起こるのですが、先日少し変わった症例に遭遇したので紹介します。

犬の腸閉塞1

 パピヨン(♂、11歳未去勢)数ヶ月に及ぶ慢性の食欲不振があり、2、3日前から食欲廃絶との事で来院。嘔吐・下痢はないが便秘気味。一般身体所見では
・削痩
・中程度の脱水
・腹囲膨満
・腹部触診にて、腹部全体に波動感があり柔軟な大きな管状の構造物を確認
・膀胱は正常
                             でした。

 すぐにレントゲン撮影をしたところ

犬の腸閉塞2
犬の腸閉塞3

やはり全体にちょうど500mlペットボトル程の太さの管状構造物があり、その内部には砂状の内容物が少し見られました。また腹部全体が白くモヤがかかって見える事から腹膜炎も疑われました。
 エコー検査ではその管状構造物の中身は、ちょうど泥状の食渣の様にも見えたのですが、腸の五層構造ははっきりとは確認されませんでした。腹水等の所見はなし。

 血液生化学検査では
WBC:23300 (Band:466 Seg:19106 Lym:1864 Mon:1864 Eos:0 Bas:0)
TP:5.0 Alb:2.2 Glu:72
その他の項目は正常値でした。

 ここでこの症例の仮診断をしなければならないのですが、
・腸閉塞による消化管の拡張
・前立腺嚢胞
・腫瘍性の構造物  
        が挙げられます。
 私の考えは、消化管の拡張が一番疑われるのですが果たしてここまで腸は拡張するのか疑問でした。普通ここまでなる前に破れると思われるのですがその様な所見はなかったのです。
 結局このまま対処療法をしても回復は見込めそうにないので試験開腹の意味も込めて手術をする事になりました。状態は悪く厳しい手術が予想されますが。勿論執刀は院長です。

犬の腸閉塞4
 
犬の腸閉塞5

 結局腸閉塞による消化管拡張でした。回盲部より近位15cmの位地に直径3cm程の固い腫瘍が出来て、それが閉塞物となり回腸遠位50cm程が拡張していました。

犬の腸閉塞6
 矢印の所が腫瘍の位置で右側が正常な腸管、左側が拡張しています。

犬の腸閉塞7
 切除した腸管。腸鉗子の先端の位置が腫瘍。

犬の腸閉塞8
 回腸は拡張しているものの壊死等は見られなかった事から腫瘍より約10cmの範囲で腸管を切除し、端々吻合しました。写真は腸を縫合し終えて戻す所。腹膜炎はほとんど見られませんでした。

 結局消化管がここまで拡張しても破れる事なかった理由は、閉塞物である腫瘍が完全閉塞せずに少しでも消化物が流れていたのではと考えられます。便秘と言っても便は少しは出ていたそうです。


 ただ残念な事にこの犬は手術3日後に亡くなりました。取った腫瘍は病理検査に送っていないのでこれが何なのかは不明です。
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