急激な骨髄抑制を起こした猫白血病のネコ

一昨日から下痢と悪心があるとの事で12歳(避妊済 ♀)の雑種猫が来院。この時は簡単な対処療法のみで対応しました。
10日後、下痢が一時良くなったがまた再発したとの事で来院。体重の減少と、脱水状態が酷かったため血液検査を実施しました。
・PCV:23%
・WBC:6300
・PLT:21000 そして猫白血病陽性でした。
ここで注目する所は、腸炎を起こしストレス状態であるにもかかわらず、白血球数がそれ程高くない事です。血液を顕微鏡で観察した所、好中球の減少と、リンパ球の軽度の増加が見られました。
猫白血病を発症していると考えられます。

猫白血病により骨髄抑制が起こり、赤血球や白血球の生成が行われなくなり、易感染性となったと考えられます。
この時から抗生剤(Baytril)、Pre、皮下点滴を毎日行いました。
その3日後、白血球数が300にまで減少しました。

白血球がほとんど見えません。
下痢も止まらずPCVも11.7%です。翌日輸血をしましたが、予後は悪いと考えられます。
イヌの片側乳腺全摘出術
犬の僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症はイヌの心臓病の中で最も一般的な疾患の一つです。
ある特徴的な雑音が聴診されるとこの病気が疑われるのですが、はっきりこの雑音が聞こえても症状がまったくなかったり、逆にわずかしか雑音が聞こえないにも関わらず症状が酷く表れる事もあります。
症状は主に
・咳
・呼吸が荒い
・運動不耐性
・失神 等です。
最後の失神が表われると心臓病としては末期になるのですが、この失神が出て初めて病院に来院される方も結構います。

レントゲンではこの様に心臓が肥大して見えます。あまりに肥大して気管を圧迫しています。そして肺全体に肺水腫の所見が見られます。

可能なら超音波検査もします。この「僧帽弁閉鎖不全症」では心臓の左の部屋にある僧帽弁と呼ばれる弁が、上手く閉じなくなる病気なのですが、弁の腱索が断裂してピラピラとしているのが確認される事があります(上の画像は分かりにくいですが)。

カラードプラではこの様にモザイク状になります。こうなると言う事は弁が上手く閉じないために、血液の乱流が起こっている事になります。この様に左心房全体がモザイク状になると言う事は、かなり重症と予想されます。


各種心臓病の薬です。それぞれの重症度、投薬による反応を見ながら処方して行きます。心臓病は診断さえきっちりしていれば酷い症状でも内科療法にある程度は反応します。
ある特徴的な雑音が聴診されるとこの病気が疑われるのですが、はっきりこの雑音が聞こえても症状がまったくなかったり、逆にわずかしか雑音が聞こえないにも関わらず症状が酷く表れる事もあります。
症状は主に
・咳
・呼吸が荒い
・運動不耐性
・失神 等です。
最後の失神が表われると心臓病としては末期になるのですが、この失神が出て初めて病院に来院される方も結構います。

レントゲンではこの様に心臓が肥大して見えます。あまりに肥大して気管を圧迫しています。そして肺全体に肺水腫の所見が見られます。

可能なら超音波検査もします。この「僧帽弁閉鎖不全症」では心臓の左の部屋にある僧帽弁と呼ばれる弁が、上手く閉じなくなる病気なのですが、弁の腱索が断裂してピラピラとしているのが確認される事があります(上の画像は分かりにくいですが)。

カラードプラではこの様にモザイク状になります。こうなると言う事は弁が上手く閉じないために、血液の乱流が起こっている事になります。この様に左心房全体がモザイク状になると言う事は、かなり重症と予想されます。


各種心臓病の薬です。それぞれの重症度、投薬による反応を見ながら処方して行きます。心臓病は診断さえきっちりしていれば酷い症状でも内科療法にある程度は反応します。
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TBSドラマ 獣医ドリトル を観てみた

TBSドラマ「獣医ドリトル」を観ました。もともとあまり実写ドラマは観ないのですが、番宣で気になったのでチェックしていました。原作のマンガを知らなかったのでどんな展開になるのかも分からないのですが・・・。
職業柄こんな症例が来たらどんな治療やインフォームド・コンセントをするかなぁとか考えながら見ていました。
①マンションから転落し頭部を損傷し意識のないネコ
状況から考えて脳以外にも傷害を負っていると考えてX-rayを何枚か撮影し、血液検査、心拍数・血圧などの異常がないかを確認。異常がなければMRI検査を提案(私はMRIは見れませんが)。
ただしここで問題が。動物の場合MRI検査をするにしても動かないように麻酔をかけるのですが、頭蓋内に異常がある場合麻酔リスクが非常に高く死ぬ事もよくあります。この事を伝えて検査。
本編では「クモ膜下出血」との事で手術不適応で鳥取動物病院に転院して来ましたが、MRIまで撮って他へ転院させるのもちょっと現実離れしているなぁ、と思いました(それがドラマなんですが・・・)。その間に死ぬだろと思ってしまいました。
私ならすぐに安楽死は勧めないけど、対処療法で何日かやってみるかなぁ?頭蓋内圧下げる薬を打ちながら・・・。
②骨折した馬
一人で競走馬の骨折手術は無理だろ。でも馬は専門外だけどこのエピソードはちょっと感動した。
③白内障のサル
いけ好かない弁護士の飼ってるサルです。
所でサルを観る獣医師って実はあまりいないんですよ。変に頭が良過ぎて診察や入院管理がしにくく、サルの病気は人間に基本感染するので獣医師が嫌うのです。
白内障で元気がないってどんな状態なんでしょうね?もう緑内障に発展しているんじゃないかなぁ?手術をしても視覚が戻るかどうか・・・。動物の場合どれくらい見えるようになったか話せないので、白内障の手術をしてもあまり生活の様子が変わらない時はいまいち飼い主さんの満足を得られないのが難点です。
この手術は200万円請求していましたが、イヌの場合片目30~50万円が相場なので、検査料・術後管理や手術の難易度を考えれば少し高いけど妥当かなと思いました。
でもこれって獣医版ブラック・ジャ(ry
今の所あまり高額の治療費は請求してないけど(笑)。次回も時間があれば観てみます。
ネコのヘモバルトネラ症
今日、2日前から食欲不振、元気がないとの事で雑種ネコ(年齢不明、未去勢♂)が来院して来ました。
病院内では
・衰弱が激しくすでに虚脱した状態
・激しい黄疸
・腹部触診で肝臓の腫脹
・体温やや低下(37.1℃)


この様に粘膜や皮膚が黄色くなっています
体格がかなり良好な事から(BCS:4/5)何等かの急性疾患を疑いましたが、この時は急性肝炎の様なものを考えていました。とにかく危険な状態なので入院させる事にし、血液検査をしました。
・Glu:36
・AST:1000<
・ALT:980
・Bill:2.5
・PCV:11.2% でした。
重度の貧血と、低血糖、肝酵素の上昇が見られました。
そして血液塗沫を見たところ「ヘモバルトネラ症」でした。


赤血球表面をよく見ると、青い点々が見えます。
このヘモバルトネラ症(最近ではヘモプラズマやマイコプラズマと名前が変わった)、教科書に載るくらい有名な病気なのですが最近はほとんど見られず、私も実際に診断したのは初めてです。ダニやネコ同士の咬傷から感染するそうで、血液に寄生する寄生虫で貧血を起こします。
そしてネコ白血病に感染・発症している場合症状が重篤になるらしく、この症例でもネコ白血病陽性でした。
とりあえず1回輸血をし、血糖値の補正をするために持続点滴をしています。
そして、
・Baytril 10mg/kg/SID
・Pre 2mg/kg/SID でしばらく治療しようと思っているのですが、以前危険な状態ではあります。
病院内では
・衰弱が激しくすでに虚脱した状態
・激しい黄疸
・腹部触診で肝臓の腫脹
・体温やや低下(37.1℃)


この様に粘膜や皮膚が黄色くなっています
体格がかなり良好な事から(BCS:4/5)何等かの急性疾患を疑いましたが、この時は急性肝炎の様なものを考えていました。とにかく危険な状態なので入院させる事にし、血液検査をしました。
・Glu:36
・AST:1000<
・ALT:980
・Bill:2.5
・PCV:11.2% でした。
重度の貧血と、低血糖、肝酵素の上昇が見られました。
そして血液塗沫を見たところ「ヘモバルトネラ症」でした。


赤血球表面をよく見ると、青い点々が見えます。
このヘモバルトネラ症(最近ではヘモプラズマやマイコプラズマと名前が変わった)、教科書に載るくらい有名な病気なのですが最近はほとんど見られず、私も実際に診断したのは初めてです。ダニやネコ同士の咬傷から感染するそうで、血液に寄生する寄生虫で貧血を起こします。
そしてネコ白血病に感染・発症している場合症状が重篤になるらしく、この症例でもネコ白血病陽性でした。
とりあえず1回輸血をし、血糖値の補正をするために持続点滴をしています。
そして、
・Baytril 10mg/kg/SID
・Pre 2mg/kg/SID でしばらく治療しようと思っているのですが、以前危険な状態ではあります。
今日は3件の手術を執刀
今日は3件の手術を担当しました。
10時
シーズーの皮膚のイボ状の腫瘍を切除。


右大腿部外側に直径1cmほどのイボ状の腫瘍が出来ています。シーズーをはじめイヌではこの様なイボがよく出来るのですが、ほとんど良性のため、私の病院ではまず手術の対象としないのですが、今回は飼い主さんの強い要望のため切除する事になりました。
手術自体は15分もかかりませんでした。

13時
イヌの去勢手術を担当。
14時過ぎ
院長がネコの腸閉塞(おそらく腸管型リンパ腫)を執刀。
16時30分
雑種犬(14歳)の子宮蓄膿症を担当。

もうこの手術にも大分慣れて来ました。

両子宮角はそれ程の拡張はなかったのですが、両卵巣に直径2~3cmの卵胞嚢腫を形成。子宮頚も肥厚していて、直径3cm程の結節状の腫瘍を形成していました。
この手術が終わったのが18時15分でしたが、さすがに今日は疲れました。
10時
シーズーの皮膚のイボ状の腫瘍を切除。


右大腿部外側に直径1cmほどのイボ状の腫瘍が出来ています。シーズーをはじめイヌではこの様なイボがよく出来るのですが、ほとんど良性のため、私の病院ではまず手術の対象としないのですが、今回は飼い主さんの強い要望のため切除する事になりました。
手術自体は15分もかかりませんでした。

13時
イヌの去勢手術を担当。
14時過ぎ
院長がネコの腸閉塞(おそらく腸管型リンパ腫)を執刀。
16時30分
雑種犬(14歳)の子宮蓄膿症を担当。

もうこの手術にも大分慣れて来ました。

両子宮角はそれ程の拡張はなかったのですが、両卵巣に直径2~3cmの卵胞嚢腫を形成。子宮頚も肥厚していて、直径3cm程の結節状の腫瘍を形成していました。
この手術が終わったのが18時15分でしたが、さすがに今日は疲れました。
セミナーで香川県へ・・・
毎月恒例のセミナーで香川県へ帰省しています。
今回は東京大学のN島先生の講演で、主に慢性の消化器疾患で下痢についてのお話を聞きました。「下痢」は飼い主さんが気付きやすい疾患の一つなので、日々の診察の中でも多く見るのですが、その中でも治療に反応しなく慢性(3週間以上)の下痢についてのものでした。
今回の講演はまださわりの序盤で、N島先生の講演はまだ何回かあるそうなので期待しています。
今回は東京大学のN島先生の講演で、主に慢性の消化器疾患で下痢についてのお話を聞きました。「下痢」は飼い主さんが気付きやすい疾患の一つなので、日々の診察の中でも多く見るのですが、その中でも治療に反応しなく慢性(3週間以上)の下痢についてのものでした。
今回の講演はまださわりの序盤で、N島先生の講演はまだ何回かあるそうなので期待しています。
今日は 「Dix(10)」 の日
今日は2010年10月10日ですね。その事実にお昼過ぎに気付きました(笑)。
因みに2010年10月10日10時10分10秒の時刻に私は二日酔いで寝込んでました。昨日は久し振りに自宅でお酒を飲みました。ちょっと飲み過ぎてしまいました(汗)。
そう言えば最近涼しいを通り越して寒くなって来ましたね。今日はすき焼きを食べましたよ。鍋の美味しい季節になりました。
因みに2010年10月10日10時10分10秒の時刻に私は二日酔いで寝込んでました。昨日は久し振りに自宅でお酒を飲みました。ちょっと飲み過ぎてしまいました(汗)。
そう言えば最近涼しいを通り越して寒くなって来ましたね。今日はすき焼きを食べましたよ。鍋の美味しい季節になりました。
ギレンの野望 アクシズの脅威V
イヌの下眼瞼

今日はイングリッシュ・セッター(11歳、去勢済♂)の下眼瞼の切除の手術をしました。
数年前から下眼瞼の皮下に結節状の腫瘍があり、最近大きくなり眼球を圧迫し充血してきたとの事で、切除の手術をする事になりました。
腫瘍はあまりにも大きいため(直径2.5cm)皮膚ごと切除するには、皮膚がよらず縫合が困難なため、腫瘍のみをくり抜く様に切除しました。


腫瘍から一層の結合織のみしかマージンが取れませんでしたが手術は無事終了しました。腫瘍自体はかなり硬かったですが、下の筋層との癒合はほとんどありませんでした。

院内でスタンプ標本を作りました。上皮系、間葉系の細胞双方が入り乱れる様子が観察され、かなり大きな核を持つ細胞もありました。少し悪性度が高い感じにも取れますが、今回は飼い主さんの希望から病理検査は依頼せずに様子を見ることにしました。この腫瘍が何なのかは結局分かりません。
L・レトリバーの子宮蓄膿症を執刀

今日はL・レトリバーの子宮蓄膿症の手術を担当しました。
この症例は8歳未避妊♀で3日前から元気食欲がないとの事で来院。他に特筆すべき症状はありませんでした。しかも病院内ではそこそこ元気でした。もちろん子宮蓄膿症の特徴である、外陰部からの出血もありませんでした。
正直に言うと、診察を簡単にして特に何も処置をせずに帰そうとも思ったのですが、ちょっと高齢の大型犬なので腫瘍のリスクも高くなるため、
「せっかくなので超音波検査くらいしましょうか?子宮の病気や腫瘍の可能性もあるので。」
と話をしてエコーを当てたところ、典型的な子宮蓄膿症でした。
これまでブログに書いたのですが、私も何件か子宮蓄膿症の手術を執刀しましたが、今回のように30kg弱もある大型犬を担当するのは初めてです。
L・レトリバーの様な大型犬は子宮を取り出し切除しにくく、また出血のリスクも高いので他の小~中型犬よりも難易度が高まります。

まぁ何とか無事手術は終わりましたが、やっぱり気力と体力は使います。手術が終わるとフラフラになりますね。ただ今回の様な大型犬の手術が出来る様になるという事は、また一歩手術の腕がワンランク上がったと言う事なので、とても満足しています。
久し振りにマクドナルド

今日の夕食は仕事帰りに家の近所のマクドナルドのドライブスルーに寄ってテイクアウトして来ました。
注文したのはダブルクウォーターパウンダーチーズ、ポテト(L)、ファンタグレープ(L)です。そうですマクドナルドのセットメニューで現在一番高いやつです(多分)。
実は日本マクドナルドホールディングス株式会社の株を少し持っているので、その株主優待としてセットメニューのタダ券を何枚かもらっているのです。ちなみにバリューセット? のどれでも注文出来ます。
なのでいっちゃん高いやつを毎回注文しています(笑)
因みに他にも外食系の株をいくつか持ってるので、その株主優待も合わせれば1ヶ月くらいは食事がタダで食べられるんじゃないかなぁ?
今日から10月
今日から10月、早いもので今年も残り3ヶ月です。ついこの前までずっとクーラーをガンガンにつけてたのに、この頃は朝は少し寒いです。セミやカエルの鳴き声からコオロギの鳴き声に変わりました。
今年の夏は猛暑だった所為か、イヌの妊娠が上手く行かなかった・発情が遅れたとブリーダーさんから聞きましたが、全国的に見て本当なんでしょうかね?
あと学会で有名な先生が「あまりに暑く、ボウフラの時点で死ぬ事が多かったため蚊の発生が少なかった。今年はフィラリア症の発生は少ないでしょう。」と言っていました。
秋は休みが多いので助かります。
今年の夏は猛暑だった所為か、イヌの妊娠が上手く行かなかった・発情が遅れたとブリーダーさんから聞きましたが、全国的に見て本当なんでしょうかね?
あと学会で有名な先生が「あまりに暑く、ボウフラの時点で死ぬ事が多かったため蚊の発生が少なかった。今年はフィラリア症の発生は少ないでしょう。」と言っていました。
秋は休みが多いので助かります。