ネコの腹腔内出血
ネコの下顎の縫合


今日はネコの下顎の皮膚の縫合をしました。2010年1月5日のブログにも書きましたが、ネコの下口唇がこの様にめくれる事はたまに見かけます。4日前からこの様な状態だったらしく、一部化膿し骨も見えています。

ちなみにこの猫は右大腿骨頭の剥離骨折があり、寛骨臼から脱出していますが今回はこの骨の方には手は加えません(金銭的な理由で)。




まず両口角の裂傷を、2針ほど口唇の皮下織と歯肉を縫合しました。そしてワイヤーを舌の裏に通し、固定しました。ワイヤーと口唇の間にはチューブを通しました。
そしてナイロン糸を犬歯に引っ掛けて皮膚に固定しました。
何とかうまく整復・固定出来ました。ただどんなに上手く行ってもまた離解する可能性があるので、油断は出来ません。
ネコの尿閉

冬になるとネコの尿路閉塞が増えます。ネコはもともと尿結石が出来やすい動物で、特にオスで尿閉になります。ただの尿結石と侮るなかれ、完全に排尿が出来なくなると2日ほどで死亡します。

上の写真のネコは今日来院した尿閉猫ですが、麻酔をかけて尿閉解除しました。陰茎先端の尿道内に「歯磨き粉状」の結石がびっしりと詰まっていました。

解除した後尿検査にて写真のような不整な結晶が少数見られました。明らかな結石による尿閉でも、典型的な結晶が顕微鏡で観察されないこともあり、結晶の種類を確定させるには何度も尿検査をする必要があります。

尿閉解除後尿道カテーテルを留置し、血液検査で腎不全様の結果が出たので入院させました。
ネコのメラノーマかと思ったら・・・・
麦粒腫の手術
今日は雪
今日の手術
フィラリア症の手術

先日フィラリア症のチワワの手術がありました。数日前から呼吸が荒いとの事で来院されました。


診察では、可視粘膜の蒼白と腹水が見られ、フィラリア症で特徴的な「ドルックン、ドルックン」と言う強い心音が聞こえました。

超音波検査では右心にフィラリア虫体が確認されました。
翌日手術を実施しました。

①まず頸静脈を露出させ、切れ込みを入れます。

②切れ込みからアリゲーター鉗子を入れるのですが、右心室までの長さを測ります。

③アリゲーター鉗子を頸静脈の切れ込みから挿入します。

④右心室から虫体を釣り出して行きます。

⑤心音が正常に戻るか、超音波で心室に虫体が確認されなくなるまで繰り返します。

今回は10隻取れました。
何とか無事手術は終わりましたが、この手術は非常に麻酔の危険性の高い手術で、成功率は大体50%です。
犬の形質細胞腫
土地の整備
膿胸と筋間の膿瘍を併発した猟犬

先日少し珍しい症例を診ました。6歳ポインターの雄(猟犬)で、右の腹部が腫れていて食欲がないとの事で来院して来ました。


診察したところ右の第10~13肋骨上に手拳大の固い盛り上がりがありました。私は最初これを、腎臓や肝臓が腫れて、外に突き出したのではないかと思いました。
しかし超音波検査をした所・・・

どうやら筋肉の間に液体の貯留がある事が分かりました。穿刺した所、膿汁の貯留が確認されました。
通常ですと単なる「筋間の膿瘍」と診断して終わる話ですが偶然撮ったレントゲンで・・・

右の胸腔に液体が貯留している事が分かりました。どうやらこの猟犬は膿胸も併発しているらしいのです。
この現象は猟犬でたまに見られるのですが、山の中を走り回る際、とがった木や草が口から入り肺を傷つけ、膿胸になる事があります。おそらくそれが右の最後肋骨付近の膿瘍として外に出たのでしょう。
普通の家庭犬ではあまり見られない症例でした。