
上の超音波の画像は9歳の四国犬(未避妊♀)の肝臓です。肝の割面がモザイク状で、右側に大きな腫瘤を形成しているのが分かります。
食欲不振で来院したのですが、詳しく検査して行く内に超音波にて腹水の貯留が分かり、それが腹腔内出血であった事が分かりました。
さらに詳しく超音波で見て行く内に肝臓に腫瘤がある事が分かり、ここからの出血と予想出来ました。

肝臓のFNAの結果、リンパ腫と分かりました。リンパ腫で肝臓に病変を作る場合、「多中心型」にぶんるいされます。
治療は化学療法が一般的ですが、腹腔内出血があり治療に速やかに反応しない場合、予後不良と思われます。
因みに今回の症例は、単純な食欲不振のみで、動物の外見上の状態は比較的良かったのですが、ふたを開けてみれば肝臓の腫瘤・腹腔内出血と、思った以上に重篤な状態だったのでびっくりしました。
油断していれば見落としていた症例でした。