
急に痩せて来たとの事で11歳のW・コーギー(未避妊♀)が来院しました。血液生化学検査をした所、肝酵素値の著しい上昇が見られました。

また腹部超音波検査では肝臓全体に、小結節状の低エコー性の虫食い像がみられました。また軽度腹水貯留もありました。腹水採取を試みましたがほとんど採取できませんでした。
翌日肝の針生検を行いましたが、正常な肝細胞しか採取できませんでした。
また努力性の呼吸が見られたので胸部レントゲン検査をした所、胸水貯留が見られました。

胸水は漏出性で、塗抹像では炎症性中皮細胞と大型のMφ細胞主体でした。
肝細胞の腫瘍病変は認められたものの確定診断は出来ず、初診時から4日後に死亡してしまいました。
死後腹部の開腹の許可を頂きました。

やはり肝臓全体に大小数㎝の結節性病変が沢山見られました。

腹水も貯留しています。

また腸間膜と腹膜にも米粒上の結節が無数にありました。

肝臓のスタンプ標本では肝細胞とは別に、大小不同でシート状のこう悪性度の細胞が見られました。

開腹時に採取した腹水でも同様の所見が見られました。
採取した肝臓の病理検査を依頼したところ、「原発不明の転移性の腫瘍」と言う結果でした。