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重度の心疾患で胃拡張・捻転を起こした犬の一例

 今日は診察でミスをした症例を書きたいと思います。

 15歳 シーズー(未去勢 ♂)
 2ヶ月前発咳が激しいとの事で来院。診察・検査の結果重度の心疾患(両心拡大)で肺水腫、ISACHC ClassⅢa と判断し
・Pimobendan
・Lasix(3mg/kg SID)
・ACEI
の投与を開始しました。一時発咳もやや治まったのですが、最近酷くなりつつありました。

 そして先日、「お腹がパンパンに膨れて呼吸が荒い」との事で来院して来ました。
 診ると腹部全体が膨満していて、呼吸も荒くぐったりしていました。
 私は「これは絶対に腹水が溜まっているから抜かなければ。抜けば呼吸も楽になるはず」と確信して、仰向けにして臍の少し下方に14Gの留置針を刺しました。

 留置針を穿刺した直後「ぷっしゅー」とタイヤの空気が抜ける様に無臭のガスが抜けて行きました。
 私は留置針から液体の腹水が出てくるものと思い込んでいたのに、実際に出て来たのはまさかのガス。これには驚くし慌てました。

 そして頭をよぎったのが「これは胃拡張・捻転ではないか?」でした。飼い主さんの話をよく聞いてみると、昼頃咳は出ていたものの食餌をとりその後急にお腹が膨れ始め苦しみ出したとの事でした。ますます胃拡張・捻転っぽい。ただガスを抜いてしまってからではもう診断の確証は得られません。エコーを当ててみても胃内に食渣は多いけれど、他に異常は見られませんでした。
 呼吸が激しいと胃に空気がたまり、胃が異常に膨れ捻転を起こす事があります。

 ただし幸いこの症例のシーズーは留置針で穿刺しガスを抜いてからは、呼吸も安定し落ち着いた様子になりました。応急処置ではありますがこのガスを抜く方法は胃拡張・捻転では正しい治療方法で、まずは早急にガスを抜かなければ危険な状態になるのです。もし胃捻転を起こしていれば開腹して胃の整復も行うのですが、この症例は重度の心疾患で麻酔のリスクが非常に高く手術は不適応。
 飼い主さんには「もし次に同じようにお腹が膨れたら危ないですよ」と伝えて帰しました。

 しかし翌日には咳は相変わらず激しいのですがとりあえず元気にはなっていました。
 今回の反省点はエコー・X-rayなどで腹腔内をよく確認せずに穿刺を行った点です。幸い胃に刺さりガスが抜けたので良かったのですが、もし変な所に刺していたら・・・。
 
 「針を刺す時はエコーのガイドを見ながら刺す」
これは基本で、一番大事。
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